捨て貼りとタッチアップが不要に! 建物塗装の養生で作業時間を短縮するマスキングテープ
今回紹介する製品は建築用のマスキングテープ「ルパン」。
塗装の手間を大幅に減らすスグレモノだ。
「普段、塗装の際にマスキングで使われる養生テープに比べて塗料が食いつくため、剥がすだけできれいにラインが出ます。つまりタッチアップの手間があまりかからない。それに、糊残りも少ないんです」
そう語るのは、開発元のカモ井加工紙 東京支店 販売課の山岡正人さん。
手間が減るということは、そのままコスト削減にも繋がってくる。
実際、現場では「コストが下がった」との事例もあるとか。

カモ井加工紙 東京支店 販売課 山岡正人さん。多くの職人と接点を持ち、ルパンシリーズの普及に尽力している。
“捨て貼り”と“タッチアップ”が養生作業からなくなる!
ルパンを利用することで、養生作業の何が変わるのか?
ここでは窓とサッシ部分への養生を例に考えてみたい。
その工程を比べてみると一目瞭然だ。
塗装面をきれいに剥がせる、そして粘着剤が残らないというルパンの特長が、これだけ作業をラクにしてくれる。
窓とサッシという例だけではなく、たとえばエアコンの室外機といった、塗装現場の周囲にある物の養生にもルパンは有用だと山岡さんは言う。
なお、「ルパンマスカー」(大塚刷毛製造株式会社 商標登録商品)という製品も販売されている。
これは、あらかじめマスキングテープにマスキングフィルムが貼り付けられたマスカーの、テープ部分にルパンを使用したものだ。
では、実際にルパンでは剥がすだけで線がキレイに出て、糊残りも起きないのか?
それを証明するために、今回は山岡さんに実験をしてもらった。
養生用布テープ vs ルパン、建築塗装の養生としての実力を比較テスト!

各テープの左右の上にかかるように、弾性塗料を塗って乾燥させた。
今回行った実験では、ルパンと、一般的に養生に使われている養生用の布テープをそれぞれベニヤ板に貼り、その上から弾性塗料を塗ったサンプルを用意。
マスキング性能の違いを検証した。
緑色が養生用の布テープ、紫がルパンだ。

養生用の布テープを剥がすと、ベニヤ板に塗料がギザギザに残ってしまった。
まずは養生用布テープ(緑)から。
……テープが塗料をギザギザに剥ぎ取ってしまった。
このあとの作業として、ラインを出すためにカッターで余りの塗料を取るというタッチアップ作業が必要となる。

ルパンを塗装の養生に使うと、剥がした時にキレイな線が出た。
次に紫色のライン=ルパンを剥がす。
ルパンごと、塗料がきれいに剥がれた。
まっすぐで美しいライン。
しかもカンタンだ。
さらに、テープを剥がした後のベニヤ板を触ってみると、養生用布テープを貼った面はヌルヌルとした糊が残っていたが、ルパンを貼った面は粘着剤が残らずにサラっとしている。
実はこの実験、展示会などでも行われており、「職人の方などから驚きの声をいただいているんです」(山岡さん)。
ルパンを特徴付ける、2つの違い

山岡さんによると、ルパンと養生用布テープでは、基材と粘着剤に違いがあるという。
ルパンシリーズの利便性は分かったが、なぜこうもルパンは違うのか?
養生テープは、もともとマスキングのためのものではなく、言ってみれば用途外の存在。
ルパンはマスキングのための材料なのだが、具体的に何が違うのだろう。
■違いその1 基材
まず、ルパンは基材が違う。
「基材」とはテープそのものの材質のこと。
山岡さんによると多くの建物塗装の養生に多く使われている養生用布テープでは、基材にスフ布を使ったうえで、表面にラミネート加工がされている。
そして、ラミネート加工したスフ布は、表面に塗料が食いつきにくい。
だから実験で示されたとおり、塗料が基材=スフ布に乗らず、塗装面に残ってしまう。
この点、ルパンは基材に不織布を使っており、さらに特殊加工まで施しているので、表面はザラザラ。
塗料がよく食いつくというわけ。
だから、実験では塗料も一緒にきれいに剥がれていったのだ。
さらに基材の違いは、糊残りについても効力を発揮する。
スフ布は水を通しやすく、塗料が乾くまでの間に雨が降ると、基材から粘着剤が剥がれやすくなる。
また、スフ布は光も通しやすいため、直射日光を長く浴びると、やはり基材から粘着剤が剥がれやすくなる。
しかし、ルパンに使われている不織布は、スフ布に比べて水や直射日光を通しにくいため、基材から粘着剤が剥がれにくい。
また、不織布はラミネート加工したスフ布に比べて柔軟性にあるので、凹凸のある面にも貼り付けやすくなっている。
■違いその2 粘着剤
そしてルパンは粘着剤も違う。
山岡さんによると、一般に養生用布テープには、ゴム系の粘着剤が使われているという。
ゴム系の粘着剤は柔らかく、基材から剥がれて接着面に残りやすい。
一方、ルパンではアクリル系の粘着剤が使われている。
アクリル系の粘着剤は、ゴム系の粘着剤に比べて硬いため、接着面に残りにくいというわけだ。
基材の違いでテープへの塗料の食いつきをよくして、粘着剤にも工夫が凝らされている。
この2つの要素でルパンはマスキングに最適な副資材となっているというわけだ。
外壁塗装などの現場で、人工代削減と作業時間短縮に

人員募集に苦労されている現場もあるが、副資材メーカーとしてその苦労を軽減したいと話す山岡さん。
ルパンは発売から約2年が経つが、そのすそ野は外壁塗装以外にも広がりつつあると山岡さんは話している。
例えば、防水塗装や車塗装の現場などでも、ルパンが利用された実績がある。
また、ルパンではバリエーションとして、低粘着タイプの「ルパンライト」も用意されている。
こちらは屋内の養生など、弱い下地に使用するために開発された。
雪国における樹脂製サッシなどに重宝されている。
ところで気になるのがコストの問題だが、ルパンは養生用布テープに比べると、1平米あたりの単価が1.7倍となる。
しかし、そこは単品でのコストではなく、作業全体の単価を考えてみたい。
つまりは人工代だ。
捨て貼りとタッチアップの作業をなくせば、その分だけ養生のための人員は減らせる。
山岡さんによると、ルパンに切り替えたことで、年間の人工代を劇的に削減できた施工店もあった。
工程が減った分だけ作業時間が短くなり、養生に必要な人員が減るなど、ルパンを利用することのメリットは大きい。
外壁塗装の現場では、ぜひ一度利用を検討してみてはいかがだろうか。
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